MSA留学生サポートクラウドファンディング支援者インタビュー:株式会社With World

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2021年から2022年初めにかけて、日本政府は、留学生を含む外国人の新規入国を厳しく制限してきました。こういった中で、国費留学生が例外的に来日を認められたことをMSAはありがたく存じます。ただし、それに伴い、隔離期間の費用を学生が自己負担で支払うという規定が定められました。国費留学生が負担していた費用は平均15万円で、50万円を上回る場合もありました。

このような費用は多くの学生にとって、多大な負担となりました。学生の大部分は、途上国出身者である上に、日本留学を期待して退職したため、収入がゼロになっていました。それにもかかわらず、彼らは海外にいることにより奨学金をもらえなかったのです。この状況を踏まえて、MSAは、新しい国費留学生の金銭的負担を軽減させようと、クラウドファンディング・キャンペーンを立ち上げ、寄付を募ることにしました。クラウドファンディングの詳細についてはこちらのリンクをクリックしてください。

我々は現役学生や卒業生、協賛団体にたくさんのサポートをいただきました。これにより、最も大きな支援をくださった団体に対して感謝の気持ちを伝えたく、ご寄付の背景にあるモチベーションを発信していただく場を設けることにしました。株式会社With World(以下WithWorld)は、MSAと共通のビージョンをもち、5万円のご寄付を通して国費留学生へのご支援を示してくださいました。今回は、With Worldと在日留学生との関わりを理解できるよう、WithWorldの代表取締役、田村一也(たむら・かずや)さんにインタビューをさせていただきました。

With Worldはどんな会社ですか?

With Worldは、2018年に私が設立した会社です。背景としては、企業による外国人の受け入れがなかなか進まなかったり、外国人に対する認識があまり良くなかったりするという問題があります。このように、日本人とフラットな形で外国人を見ていない企業が未だに多いという事実に、私は課題意識をもっています。

日本の将来を考えたときに、外国人の協力なしに日本が今の経済水準や発展を維持することは不可能と思いました。これからの日本では、日本人が外国人と手を組んで、一緒に何かをやっていけるような、外国人が活躍しやすい社会を作る必要があると思っています。それを実現するために、会社を立ち上げました。

私たちWith Worldは、大きく分けて行なっていることが三つあります。一つ目が、外国人を採用する企業の支援です。ただ採用を支援するだけでなく、どうすれば外国人が企業で働き続けたいと思うのか、というところも含めて、採用から入社後の定着まで、幅広い支援を提供しています。二つ目は、最近新たに始めていることですが、海外事業の開発サポートがあります。三つ目は、外国人の方々向けのサービスとなります。日本での就職や転職に関するキャリア・サポートはもちろん、日本で活躍できるよう支援もしています。例えば、日本で働きたい外国人のためのビジネス研修を実施するほか、今後は外国人起業家の支援も行なっていきたいと考えています。

今回のご寄付の件で、その背景にあったモチベーションは何ですか?

国費留学生は日本にとって貴重な人的資源だ、という思いから寄付をさせていただきました。

外国人、特にMSAの国費留学生は、日本に対して好意的な気持ちをもっている方が少なからずいる中で、その方々が「日本に来てよかったな」と思っていただけるようにしなければならないと、個人的に思っています。その上で、自分なりにできることは何かと考えたとき、クラファンに参加したいと思い、協力させていただきました。

MSAという団体に関しては、設立当初から多少なり関わりがあって、信頼できる団体と信じています。実際に国費留学生に限らず、留学生全般に向けて、日本における生活やキャリアのサポートもされており、具体的な実績を残している団体です。そのような活動も含め、支援したいという思いで寄付しました。

外国人ともっと関わりたいという企業に対して、何か伝えたいメッセージはありますか?

With Worldは寄付で支援を示しましたが、日本社会において、寄付という文化はあまり一般的ではないです。なので、なかなか気軽に寄付できない人が多いと思います。

外国人の方と交友関係がある日本人は多くはないと思いますが、国費留学生は特に、知っている人がかなり限定的だと思います。だから、日本人の方には、留学生に実際に会って、話してみて、その人たちがなぜ日本に来たのか、日本で何を勉強して、将来何をしたいかなどを知ってほしいです。私も初めは彼らに興味を持って、話を聞く機会があって、それから留学生の皆さんを応援したいと思うようになりました。

外国人だと、日本語で話せるのかと心配される方が多いですが、日本語教育をしっかり受けてきて、上手に話せる外国人の方が、MSAをはじめ、留学生にはたくさんいらっしゃいます。なので、まずはぜひコミュニケーションをとってほしいです。彼らの話を聞いた上で、共感できるようであれば、応援してほしいです。

国費留学生に伝えたいメッセージやアドバイスはありますか?

日本という国は慎重で、常に周りの目を気にする社会です。コロナの対応についても、様子を見ながら少しずつしか対応できません。それがいいときもあれば、悪いときもあります。今回の留学生受け入れに関する判断は、決して経済的に豊かではない留学生の方々にとって、大きな負担になっていると思っています。ただ、留学生が嫌だとかではなくて、安易に入国させることで、そこで何か小さな問題が起こったときに全部外国人が悪いというふうにしたくないという考えが、日本、文部科学省にあると思ってほしいです。皆さんを受け入れたい思いがある一方で、そういった細かいリスクを気にする人たちなので、タイミングとしてはよくなかったところはあります。

ただ、実際に入国できてからは、きっと周りに優しい日本人が多くいると思うので、そこは将来を前向きに捉えて、今は少し我慢をしていただきたいです。入国が進まない日本を嫌にならないでほしいというのが個人的な思いです。

日本の都会は便利ですが、田舎に行けば行くほど、外国人に慣れていない人は多くなりますが、優しい人も多くなります。だから、日本でいろいろなことにチャレンジし、いろいろな人に会ってほしいです。日本にいるこの時間を、思う存分に楽しんでほしいです。

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